日本衛生学会 The Japanese Society for Hygiene

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理事長退任挨拶・・・2015(平成27)年第85回学術総会を終えて・・・

2015年3月28日

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日本衛生学会 理事長
東京大学大学院医学系研究科
健康環境医工学部門 教授
遠山 千春

 

 2015(平成27)年3月26日から28日まで和歌山で開催された第85回学術総会(学術総会長、宮下和久 和歌山県立医科大学教授)では、「地域に根差した変革期の衛生学」のテーマの下で、例年同様、多くの会員の参加を得て終了しました。1990年代にはいり地球規模環境問題が大きな社会的な関心を浴びるなか、1992年国連環境開発会議(通称、地球サミット)では、”Think Globally, Act Locally“、すなわち、地球規模で広く環境に目を向け、自らが生活する場で行動しよう、ということが謳われました。今回の学術総会では、宮下先生は、「健康に影響を及ぼす環境要因と現代社会の健康要因を、地域からの視点を重視しながら将来へのグローバルな視点へと展開する」討論の場として、この学術総会を位置づけられました。きわめて時宜を得た会議となりました。宮下先生には、理事としても、会計・企画運営委員会等はじめ緻密で着実な見識あるご意見を頂いてきました。その先生ならではの立派な学術会合を開催していただき、先生はじめスタッフの方々に対して厚く御礼申し上げます。

 さて、2012(平成24)年3月京都での会務総会にて現執行体制が承認され、本日をもって3年の任期を迎えました。機会があるごとに申し上げてまいりましたが、日本衛生学会を一層発展させていくためには、Consider、Challenge、Createという標語を念頭におきながら、学会運営に務めてきました。すなわち、学会の活動状況、ならびに学会の制度と組織のあり方、さらには健全な学会経営について、良く考え (Consider)、新たな試みを果敢に行い (Challenge)、その試みを新たな事業として創っていく (Create) ということです。そして、理事は名誉職ではなく実務職であるということを前提として、理事の各先生方が、会計・企画委員会、選挙制度検討委員会、倫理委員会、広報委員会、若手活性化委員会はじめ様々な委員会で、学会の活性化のためにご尽力くださいました。改めて、役員及び事務支局の皆様に厚く御礼申し上げます。

 この3年間、理事会では様々な活動を行いました(特に、新たな試み・事業には下線を付けました)。

 

A 学会の事業の見直しと新たな試み

  • 魅力的な学術総会作りへの試み:大学院生や若手研究者が参加したいと思う学術総会となるよう、下記の諸活動・措置を行った。

同年代との繋がりや将来の展望がもてるよう人的ネットワーク形成の場の提供(若手有志の会のシンポジウムや自主的交流)
モーニングレクチャー、ランチセミナー
多くの自由集会とシンポジウム公募
国際性豊かな研究会
託児所の設置
スマホ・タブレットの抄録集へのオンラインアクセス(岡山) 

  • 学会誌の出版活動強化と国際化 

EHPM誌と日本衛生学雑誌のオンライン化
EHPM誌のIF (2016年夏に付加)

China Office 編集委員メンバーの更新
日本学術振興会国際発進力強化・Open access化助成金獲得への応募
e-Bookの出版化への取り組み
 

  • 広報活動の改善:ウェブサイトのリモデリング;ユーザーフレンドリーな環境

最新情報の定期的(月2回以上)アップロー
メーリング機能による定期的(月2回以上)の学会情報の発信

  • 若手研究者活性化

若手プロジェクト(助成増額・シンポジウム化
若手研究者の会」の発足(会則に基づく)を承認 

  • 日本学術振興会の科研費細目変更へのJSPSへの働きかけ
  • JSPS学術システム研究センターの主任研究員、専門調査員の公募に対して、適切な委員が選任されるための取り組み
  • AMED移行に伴う厚生労働科研費問題への取り組み:厚労省大臣への要望書の提出(日本公衆衛生学会・日本産業衛生学会と共同)
  • 男女共同参画事業への参画の承認
  • 専門医制度への取り組み:日本産業衛生学会等とのWGメンバーへの担当理事を選任

 

 

B 学会の体制改革・財政基盤の強化

  • 「理事は、名誉職ではなく、実務職」:各理事が担当委員会を積極的に運営・推進する体制づくり

会計・企画委員会、選挙制度検討委員会、編集委員会、倫理委員会(利益相反検討委員会)、広報委員会、若手活性化委員会、学会賞選考委員会、奨励賞選考委員会、名誉会員認定委員会など
Skype によるビデオグループ会議の導入;いつでもどこでも気楽に話合える環境の形成、機動的運営の強化、経費削減

  • 学会執行部の早期始動: 3 月の総会の機会に新理事による理事会を開催して、新理事会の検討事項を議論し任務分担を決定(従来は7月が第一回理事会); 総会直後から、広報委員会や選挙制度検討委員会、倫理委員会などが始動
  • 会費未納会員の退会措置: 会費納入は学会員の責務の基本であり、財政の健全性を保つためにも必要
  • 財政の改善

一定の年数会費未払い者の退会措置による学会組織の健全化
永久会員の推挙の推進

連携研究会及びChina Officeへの経常経費の見直し

  • 会則改定

理事会・評議員会・会務総会の公正かつ明示的な運営のための基盤の整備   

  • 役員選挙制度の改定

理事定数、四国を独立、単記無記名投票。監事の任務の明確化、理事長選挙での所信表明。選挙制度検討委員会と選挙管理委員会の分離し役割を明記など

  • 利益相反マネージメント内規の策定

学会発表におけるCOI開示の義務化、役員等就任前のCOI開示の義務化

 

 その他、詳細は、総会資料(URLはこちら)を御覧くださるようお願いいたします。

 さて、今後、日本衛生学会を発展させるためには、学術レベルの質の向上と量の拡大が不可欠です。また、会員の皆様が活動しやすいプラットフォームを築き運営することは理事会の役割です。対社会的にも説得力がある学会活動の「見える化」も必要と思います。今後、例えば、健康・環境・疾病・医療に関する国民の主要な関心事についての学会としての意見表明も必要と思います。

 また、国際化のためには、日本衛生学会のカウンターパートとなりうる学会との連携を探ることから始めるべきと思います。さらには、日本医学会連合、学術会議、日本学術振興会における社会医学分野の強化への戦略的な取り組みが不可欠です。その際には、日本全体の社会医学分野をどのように発展させるべきかというヴィジョンを明確にして進めるべきで、その代表の選任方法も、公正・公明な方法を決めることが大切です。さらに、学術団体としての自律性を維持することを前提に、中央省庁との緩やかな協働関係は、より積極的に構築すべきと考えます。 

                    

 最後になりましたが、この3年間の任期中、会員各位から、いろいろとご協力を賜り、ご指導・ご鞭撻をいただいた先生方に厚く御礼申し上げて、退任の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。