フォーラム(趣旨説明):
衛生・公衆衛生学分野における専門職制度の必要性とその在り方
社会医学分野における専門医の制度については,いわゆる専門医制度改革の流れを受け,本学会を含む社会医学系の学会・協議会などが連携して「社会医学系専門医制度協議会」が設立され,議論が行われてきました.現代社会には多くの社会医学的課題があり,その課題解決のために医師の活躍が重要であるという認識のもと,専門医認定のしくみを含めた制度概要も次第に固まり,2017年春から運用が開始される予定となっています.この協議会の文書には,「社会医学は,・・・医学に留まらず,科学全体や・・・人文系にわたる広範な学問体系を応用する学問とあり,社会医学の専門性を高めるという目標は,医師のみならずこの分野に参画する研究者・教育者・実務者すべての協働によって達成されると考えられます.
日本衛生学会の会員は,社会医学を学んだ医師の方とともに,いわゆるパラ・メディカルと呼ばれる医療・保健領域の実務家の方,さらには広い意味での衛生学・公衆衛生学の領域で研究・教育に携わっておられる方など,非常に多様な背景を持つ方で構成されています.小泉理事長の呼びかけに応じる形で10月にスタートした本委員会は,こうした多様な背景を持つ会員の「専門性」とはどんなものなのか,それを「社会医学専門職」という言葉でくくるような制度を作ることにはどのようなメリットがあるのか,あるいは,メリットとなるにはどのような制度が望ましいのか.こうしたいくつかの論点を出発点として議論を行いました.まずは具体的なところから検討するという方針を決め,本抄録の執筆時点では,「専門職としてのニーズの現状」ならびに「既存の学会認定制度の現状」についてまとめる作業を開始しています.
本フォーラムでは半年間の議論の到達点について報告を行った上で,会員の方々のご意見を広くうかがい,衛生・公衆衛生学の分野における専門職の必要性と在り方について,今後の議論の方向性に関する示唆を得たいと考えております.本制度は,広く社会医学における「専門性」の活用を検討するもので非医師・医師を問わず会員の皆様のご来聴とインプットとをお願いいたします.